最適なサイレント(静音)タクタイルキースイッチとは? – 打鍵感との両立を求めて

最適なサイレント(静音)タクタイルキースイッチとは? – 打鍵感との両立を求めて

オフィスだけでなく、リモートワークのオンラインミーティングで利用するキーボードは、打鍵感だけではなく、静音性も重要なポイントです。最近では、気分転換をかねて出社やコワーキングスペースの利用の機会も増えてきており、静音キーボードの見直しのため、打鍵感の良いタクタイルを中心に、静音スイッチを色々試してみました。 静音キーボードの難しいところは、静音性と打鍵感がトレードオフになるところです。リモートワーク時代に求められるキーボードには、静音性を確保しつつ、打鍵感に疲労感を加えた3軸での最適化が必要となります。 結論としては、許容できる静音性は、時間と場所により異なるため、一択になるまでは絞り込めませんでした。静音性の制約の中で、最適解となる複数の静音キーボードを準備して、使い分けるのが最善となりそうです。 評価基準 – 打鍵感と静音性との両立 自宅では、打鍵感重視でスタンダードな青軸系や、Holy Pandaに代表されるEarly Bump系のタクタイル感の強いスイッチをメインとしています。打鍵感重視だとアーリータクタイル軸、軽快感重視だとクリッキー軸が好みといったところです。 自宅でのメインスイッチを青色の背景として、一覧を以下に示します。いわゆるClackyやThockyに分類されるスイッチ[1][2][3]が好みですが、いずれもオフィスで利用するには静音性に課題があります。 改めて好みのキースイッチを一覧にしてみると、自宅では静音性は気にせずに、押下感のみを重視している事がわかります。自宅で利用しているスイッチを、クリッキーな軽快感と、タクタイル感による打鍵感の両軸で整理してみると、以下の図になります。 リモートワークと重なる原点回帰で、軽い打鍵感と明確な打鍵音のクリッキー軸を主体としていましたが、最近は、Holy Pandaに代表されるEarly Bump系の、タクタイル感の強いスイッチに比重を移しつつあるといった感じでしょうか。 評価対象 – 静音タクタイルキースイッチの選定 静穏化が最優先であれば、構造的にはリニア軸の選択が最適ですが、都度試してみても、相変わらずリニア軸の底打ち感や、押下圧の低いスイッチは苦手感があります。そのため、今回はリニア軸は対象外とし、相反する打鍵感と静穏化を両立を目的に、評判の良さそうな静音系のタクタイルスイッチ[4][5][6][7][8][9][10][11]をメインに試してみました。今回評価した静音スイッチの一覧を以下に示します。 今回は、評価基準で示した青色背景のスイッチを基準として、評価する静音タクタイルスイッチを色々と探してみました。好みとする自宅環境を、如何にオフィスでも再現できるかを目的とした評価となります。 評価結果 – 打鍵感、静音性、疲労感の3軸評価 結論としては、オフィスに持ち込むキーボードは、打鍵感と静音性、疲労感の3軸のトレードオフでの選択となり、一択になるまでは絞り込めませんでした。今回評価した各静音スイッチを、静音性と打鍵感の両軸で整理したのが、以下の図になります。 タクタイルスイッチは、構造的に打鍵感と静音性が相反する性質であり、本質的には両立は難しい選択となります。また、評価すべき項目としては、疲労感があります。さらに、静音により打鍵音のフィードバックの減少は、打鍵感にも影響していそうです。 疲労感を感じやすい静音スイッチは、図では赤丸で囲んでいます。Cherry MX静音赤軸は例外としても、基本的には静音性と打鍵感のみを追求していくと、それらを実現する押下圧やタクタイルポイントの性質により、疲労感に繋がりそうです。 結論としては、疲労については慣れの要素がありつつも、タクタイル感を疲労がない範囲で打鍵感を求めつつ、静音性とのトレードオフでの選択となりました。以下に、評価した各静音スイッチの寸評を示します。 ◯ Cherry MX…

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Keychron Q1の導入とカスタマイズ

Keychron Q1の導入とカスタマイズ

廃盤になったHHKB Lite2から、Keychron[1]やDrop[2]の65%キーボードに移行できたので、その延長線上でKeychronのQ1を選んでみました。Keychron K2に移行して感じていた課題[1]は、Windows環境ではDrop ALTの導入で解決[2]できたのですが、今回はMac環境の課題を解決するためのQ1の導入です。 Mac環境についてはWindow環境ほどカスタマイズは必要なく、ほぼKeychronK2/K3への移行に満足していました[1]。ただし、Windows環境のDrop ALTでのカスタマイズ[2]により、Fnキーの位置や、Fnキーを併用したWASDによるカーソルキーの配置など、Mac環境との操作性に差異が発生してきました。 K2でも非公式なQMK対応はあるものの[3]、Q1はKeychron公式にQMK/VIA対応した製品です。今回のQ1の導入により、Window環境との差分[2]に加えて、電源(Power)キーがない不便[1]も解消できました。 Q1のカスタマイズ Q1については、現時点では通常版とノブ(Knob)版の2種類販売されており、今回購入した通常版については「キー打鍵時の金属音」や「キーキャップの互換性」が話題となっていました。現在では、Q1のノブ(Knob)版も登場しており、特にキーキャップの互換性は解消されていますが、自分も先人を参考に色々とカスタマイズを試してみました。 金属音対策 購入当初は、打鍵時の金属音は気にならなかったのですが、キーキャップを交換している中で、相性の問題もあるのか、甲高い金属音が鳴るようになりました。そのため、已むを得ず、静穏化のカスタマイズとなりました。 ケースの改善 – Force Break Mod (丸ラベル版) まずは、多くのQ1ユーザーが実践している[3][4][5][6][7][8]、通称、Force Break Modeと呼ばれる打鍵時の金属音の抑制のために、上下の金属ケースの接触面にラベルを貼る手法です。今回は、テープではなく、エーワン(A-one)の丸型9mmのラベルでの代用を試してみました。 実践されているテープの厚みは0.1〜1.6mm程度で、重ねる枚数も人それぞれで異なります[3][4][5][6][7][8]。エーワン(A-one)の丸型ラベル1枚の厚みは0.1mmでしたが、組み立て後にケース上部を叩くと、明らかに1枚より2枚重ねの方が消音効果がありました。Force Break Modの効果は高く、ケース上部を叩いた時の金属音が、自転車で言えばアルミフレームが、カーボンフレームのような音に変わります。そのため、丸型ラベルは2枚重ね(0.2mm)としました。 スタビライザーの改善 – Tape Mod (丸ラベル版) 本来であれば、Force Break…

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Drop ALT (HHKB Lite2の後継探し) – 3ヶ月ほど使ってみて

Drop ALT (HHKB Lite2の後継探し) – 3ヶ月ほど使ってみて

HHKB Lite2は、残念ながら2019年で廃盤となりました。職場と自宅でかれこれ10年以上愛用してきたLite2でしたが、ふと「HHKBに拘る必要はないのかも」と思い始め、移行先のキーボードとして標準的な英語配列のコンパクトキーボード、Drop ALTを試してみました。 HHKB Lite2の廃盤から、いったん通常の英語コンパクトキーボードに移行してみたものの[1]、やはりHHKBに依存していたところも再認識できたので、それを踏まえてのDrop ALTへの移行です。現時点では、Windows/Linux環境での移行の問題点が、ほぼ解消できている状況です。 Drop ALTを選んだ理由 HHKB的な延長だと、DropのHHKBスタイルの「Tokyo60」が順当かもしれませんが、今回もHHKB Lite2からの移行の観点でDrop ALTを選択してみました。Drop ALTを選んだ理由を列記してみます。 カスタマイズ可能 (QMK対応) KeychronのK6(65%)を購入してから気が付いたのですが、チルダ(~)キーが独立でないとWindows環境ではかなり不便です[1]。Drop ALTは、公式にQMK対応でカスタマイスが可能です。また、複数台でのキーボード利用が前提となるために、個人的にはソフトウェアではなくハードウェアでの対応が必須です。 カーソルキーが独立 現行のHHKBに移行できない理由は、カーソルキーの不備があります。また、Drop ALTもKeychron K2/K3と同じく右SHIFTキーは1.75Uでやや特殊なものの、他のキーは標準サイズで、キーキャップの選択幅も広がりそうです。現時点では、Razerのキーキャップを試しています。 フローティングデザイン HHKB Lite2は背面のネジを外すだけで分離でき、キーキャップ部が簡単に丸洗いできます。Drop ALTは、さすがに丸洗は難しいものの、フローティングデザインで、ある程度は掃除はし易そうです。 USBハブ機能 (Type-C) Lite2はUSBハブ機能がありましたが、現行のHHKBではUSBハブ機能が省かれています。Drop ALTには、USBハブ機能があり、2つあるUSB Type-Cのコネクタの空いているコネクタはUSB 2.0のハブとして機能します。…

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Keychron K2/K3 (HHKB Lite2の後継探し) – 3ヶ月ほど使ってみて

Keychron K2/K3 (HHKB Lite2の後継探し) – 3ヶ月ほど使ってみて

HHKB Lite2は、残念ながら2019年で廃盤となりました。職場と自宅でかれこれ10年以上愛用してきたLite2でしたが、ふと「HHKBに拘る必要はないのかも」と思い始め、移行先のキーボードとして標準的な英語配列のコンパクトキーボード、KeychronのK2/K3を試してみました。 Keychron K2/K3を選んだ理由 HHKB登場時はともかく、現在ではテンキーレス(TKL)80%以下の、コンパクトなキーボードは色々な選択肢があります。個人的には、現行のHHKBはLite2後継の対象とはならず、いったんKeychoron K2/K3への移行を試してみました。 Mac/Windows対応 Lite2では、Windows(Linux)とMac環境で1台ずつ購入して使っていましたが、Keychronのキーボードは1台でMac/Windowsに対応しています。Windows/Macそれぞれのキーキャップも付属しているのも、有り難いところです。 切り替えは、側面のスイッチで、簡単にMac/Windowsの切り替えが可能です。ただし、キーキャップの交換などの手間もあり、結局はLite2と同じくWindowsとMac環境で1台ずつの揃えることになりました。 チルダ(~)キーが独立 KeychronにはHHKBに近いキーボードとしてKeychronにもK6(65%)がありますが、チルダ(~)キーが独立ではありません。K6では、FNキーとESCの組み合わせでチルダ(~)キーの入力となります。 実は、K6を購入してから気が付いたのですが、Macではまだ許容できるものの、Windowsでは言語切り替えにALTキーにチルダ(~)キーを多用するため、3重押しを回避するための、チルダ(~)キーのあるK2/K3に落ち着きました。 カーソルキーが独立 現行のHHKBに移行できない理由は、カーソルキーの不備があります。HHKBも日本語キーボードにはカーソルキーがありますが、今まで英語キーボードメインだったので、ちょっとコスト感があります。Keychronは、右SHIFTキーが1.75U、スペースキー右横が1Uキー3個と標準からは若干変則的ですが、カーソルキーが標準で配置されています。 スイッチが選択できる Lite2はメンブレインでメカニカルな爽快感はないものの、押下圧55gでタクタイル感が強めです[1]。個人的には、HHKBのようの低めの押下圧や赤軸のリニア感が苦手な感があります。 Lite2に移行する前は、職場と自宅共にIBMのキーボードをメインキーボードとしていましたので、Gateronの青軸、外出も考えて茶軸も選択して、原点回帰してみました。 HHKB Lite2からの移行してみて キーボードについては、自宅では有線接続、外出先では無線接続メインの利用環境です。また、コロナ禍で自宅での利用機会がメインとなっていますが、しばらくHHKB Lite2から移行してみての感想をまとめてみたいと思います。 キーの感覚 (茶軸・青軸が良い) 今回購入したGateronの茶軸は、Lite2と同じ押下圧55gのタクタイルです。個人的には押し比べてみても違いは僅かで、茶軸については同じ感覚で全く違和感がありません。 とは言え、打鍵感は、断然Gateronの青軸です。押下圧60gとやや重めになりますが、打鍵感は以前のIBMキーボードに近しく、やや軽い印象もありますが、非常に軽快です。打鍵音は、IBMキーボードのようなガチャ感のあるメカニカル音はせず、軽快で静かです。 バックスペース(BS)キーの位置が違う 最初は、HHKBより1段上の位置にバックスペース(BS)キーがあるので、HHKBの感覚が抜けきれませんでした。単純に打ち間違いが多いのと、遠い違和感がなかなか抜けきれませんでした。 ただ、位置に関しては、1週間もすると違和感が消えていきました。いずれにしても、標準の英語キーボードと同じ位置なので、選択肢の多い標準キーボード配列に戻れる意味合いでも良かったです。 最右列の押し間違い HHKBより右にもう1列あるコンパクトキーボードのため、BSキーやRETURNキーを押した時に、間違えて隣接するページキーやホームキーを一緒に押してしまうことがあります。…

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