Bianch Mega Pro 11速化 (9速からのアップグレード)

Bianch Mega Pro 11速化 (9速からのアップグレード)

Bianch Mega Pro 11速化 (9速からのアップグレード)

カンパ9速コンポーネントベースのBianch MEGA PROを、暫定的に11速にアップグレード[1][2]したものの、9速ディレイラーを流用したことから若干調整に難がある状態が残っていました。

結論的には、今回リアディレイラーも11速に変更したことで、34Tなどの近年大型化したリアスプロケットにも対応する11速ロードバイクへのアップグレード完了となりました。

なにぶん20年前のロードバイクなので、なるべく雰囲気を残しつつも、予算的にもオーバースペックにならない程度と考えていたのですが、シマノロードとのホイール共用は実現できたものの、9速時代の流用はクランク回りだけとなりました。

11速へアップグレードするには

今回、11速へアップグレードしたロードバイクは、いわゆる旧(Old)カンパ[3]とも呼称される2000年以前の9速ベースのカンパロードとなります。今回の検証しながら段階的に換装したパーツの一覧が以下となります。

Component 9 Speed 11 Speed
Frames Bianchi MEGA PRO-L - Mercatone Uno Term Replica -
Shifters Campagnolo Record Carbon 9 Speed Campagnolo Record 11 Speed
Front Derailleur Campagnolo Chorus 9 Speed Campagnolo Record 12 Speed
Rear Derailleur Campagnolo Record 9 Speed Campagnolo Record HO 11 Speed
Brakes Campagnolo Chorus 9 Speed Campagnolo Record 11 Speed
Chain Campagnolo Record 9 Speed Shimano Dura-Ace CN-HG901 11 Speed
Sprocket Shimano Durace CS-7700 9speed 11-27T Shimano Ultegra CS-R8000 11 Speed 11-34T

しばらくは、前後ディレイラーとも旧(Old)カンパ[3]の9速ディレイラーを流用していた[1]のですが、調整に難があることは否めず、現在は無難に11速のリアディレイラーに換装しています。

ホイールについては、「スプロケット」「チェーン」についてはシマノ機材を流用しています。いわゆるシマニョーロ(カンパのシフターにシマノコンポーネントをミックス)[3]で調整をかけています。

エルゴパワー (9Speed → 11Speed)

まず、今回の11速化はインデックスベースのため、現行の9速から11速対応のエルゴパワーへの換装は必須となります。

換装前のエルゴパワーもカーボンレバー採用の初代の世代でであったため、デザイン的にはあまり違和感はない感じです。

また、カンパは、シマノとは違い9速時代当時からブレーキとシフトケーブルがハンドルへの内蔵型でしたので、ハンドルについては当時もの(ITM SUPER EUROPA)を、そのまま流用しています。

実走してみての感想 : ◎

ブランケットの形状も見た目には変わってしまいましたが、旧型も小型化されていた世代でしたので、とくに違和感はありませんでした。ただ、自然な手のひらとのフィット感というか、握りこむ感じの違いちょっと違います。新旧の甲乙はつけがたいですが、形状的にはストレート的な旧型、握りやすさは新型といったところでしょうか。

肝心のシフティングについては、やや洗練され軽くなった感じもしましたが、Wレバー的と言うか、ガツンガツンと押した瞬間にシフトアップしていくカンパらしさは健在です。

内部構造は色々と進化しているはずですが、性能向上あわせ、そのフィーリングを維持しているのは素晴らしいと思います。逆に、シフトダウンについては、新旧ともカーボンレバーなので、ふんわりした感じです。

フロントディレイラー (9Speed → 12Speed)

フロント変速は、カンパについても20年間で基本的な仕様変更はなく、構造的には11速シエルゴパワーで9速フロントディレーラーを稼動範囲的に引くことは可能です[11]。しばらくは9速のディレイラーで運用していましたが、現在は、写真にあるように12速に換装しています。

フロントディレイラーについては、フリクションのため流用しやすい部分ですが、やはり多段化によりチェーン外幅の変更[2]の影響は無視できないので、本来であれば最適化された内幅の11速対応ディレイラーへの換装をおすすめします[3]

実走してみての感想 : ◎

12速ディレイラーについては、とくに調整も時間がかかることなく、動作としても安定的に変速ができています。おそらく、9速ディレイラーよりは内幅が狭いため、11速に適しているとは思いますが、実感的な性能差について体感はできていません。

ちなみに、9速フロントディライラーでの運用ですが、シマノでのような調整のシビアさはなく、実用的な範囲で調整は可能でした。理由としては、安定性重視で数段階に分けてシフトするカンパ[4]と、性能重視で実質的に一気にシフトしてしまうシマノ[5]の違いによる、調整難易度と許容範囲の差なのかもしれません。

リアディレイラー (9Speed → 10Speed → 12Speed → 11Speed)

リアも、しばらくは9速ディレイラーで調整して乗っていたのですが、やはり調整しきれないギヤが残っている状態でした。10速ディレイラーとの組み合わせは、9速ディレイラーよりシビアな感じで、やはり調整に難がありました[1]。いずれも、ヒルクライム程度では問題はないのですが、安定性を求めて、現在は素直に11速ディレイラーに調整しています。

11速エルゴレバーと、9速または10速のリアディレイラーの組み合わせは、どこかしらのギアを妥協しての調整となったのですが、さすがに11速リアディレイラーでは、なんなく調整できます。実は、現在は11速リアディレイラーより、12速ディレイラーが安価なので、こちらも試してみたのですが、そうとうテンションを高くしてなんとか調整できるレベルでした。調整してみての結論は、12速のリアディレイラーの移動比(Actuation Ratio)は11速比で少なめに仕様変更されており、エルゴレーバー側のワイヤー引き量も多めに変更されている感じでした。

実走してみての感想 : ◎

今回換装したリアディレイラーは、2017年に発表されたHO(Hydraulic Optimization)のロングゲージに対応したものです。公式に32Tまで対応しているので、近年のワイドスプロケットもキャパシティ的に問題ありません。写真では、フロント53Tでリア11T-34Tのシマノスプロケットを装着していますが、実用上問題なく動作しています。

対するシマノのRD-R9100は公式では30Tまでの対応のため、数値的にも正直34Tはギリギリの調整で余裕がない感じだったのですが、HOリアディレイラーは、まだちょっと余裕がある感じです。

ブレーキ (9Speed → 11Speed)

ブレーキは、カンパについては20年間大きな変更がなパーツで、シマノのNewSLRのような互換性に関わる仕様変更はなく[6]流用できるパーツです。ただし、しばらくは9速の前後ブレーキを流用していたのですが、デザイン上の理由もあり、現在は現行のブレーキに換装しています。

シマノのような大幅な仕様変更もなく、性能的に流用しても問題はないパーツのため、当初や換装する予定はありませんでした。しかし、現行の12速ブレーキがシマノやスラムっぽいデザインとなった拒否感もあり、今回の11速化よりブラックパーツが増えたこともあり、購入できるうちにとデザイン的に換装してみました。

実走してみての感想 : ○

9速時代は「軽量化されたレコードよりもブレーキには剛性的にはコーラスを選択」なんて話もありましたが、現行のレコードグレードのブレーキでは、剛性感の不足を感じることはありませんでした。ブレーキレバーの感触も、換装前後で変化は感じられず、違和感はありません。

9速から流用したパーツ

結局、現在流用しているパーツはクランクセットのみとなってしましました。クランク周りについては、デザイン的な面もあり最初から9速クランクの流用を考えていました。

クランクセット (9Speed + 10Speed)

20年ほど前から、カンパ、シマノのロード共に180mmのクランクを常用しています。今回の流用はデザイン的な面もありますが、近年のカンパでは180mmのクランクは標準的なラインナップにはないようで、流用せざる負えない背景もあります。

その当時は、ともにツールドフランスを制したインデュラインや、(このロードバイクレプリカの)パンターニのようにタイムトライアルやヒルクライムでクランクを長くする選手[12]も散見されたのですが、自分としては180mmでのデメリットは感じられなかったため、180mmにクランク長を統一して今に至る感じです。

多段化によりチェーンの外幅は狭くなりましたが、チェーンの内側の幅およびチェーンリングの厚さについては、この20年間通して大きな変更がない部分[7]です。9速時代のクランクで。チェーンリングについては、10速時代に53Tのもにに換装したものを流用しています。

実走してみての感想 : ◎

9速時代はカンパチェーンでしたが、11速のカンパチェーンは専用の工具が必要な背景もあり、11速のシマノチェーンに換装しています。後述するのチェーンの剛性感の少なさを除けば、変速動作を含めて問題はありませんでした。

シマノ11速と共用したパーツ

9速時代も、最終的にはシマノスプロケット仕様のホイールベースに調整し、いわゆるシマニョーロの運用をしていました。11速でもシマニョーロでの、シマノロードとカンパロードでのホイール共用は重要なテーマでした。

シマノ スプロケット & チェーン

カンパのRevolution 11+についてはスプロケットとチェーンの変更はなく[2][9]、カセット幅についてもシマノとカンパ間の仕様さが少ないことが報告されています[2][10][8]

非公表な情報を整理してみると、シマノとカンパのスプロケット間隔(Sproket Pitch)の若干な際はあるものの、9速時代と比較するとその誤差はむしろ少ない値のようです[3][8][7]

Maker Component Spech 9 Speed 10 Speed 11 Speed
Campagnolo Sprocket Sprocket Pitch 4.55 4.15 3.85
Sprocket Thickness 1.75 1.7 1.6
Chain Outer Width 6.60 6.20 5.62
Shimano Sprocket Sprocket Pitch 4.35 3.95 3.74
Sprocket Thickness 1.78 1.6 1.6
Chain Outer Width 6.60 5.88 5.62

なお、今回は試していませんが、11速のスプロケットで許容できる計算上のチェーンの幅はシマノは5.88(= (3.74 x 2) - 1.6)に対して、カンパは6.10(= (3.85 x 2) - 1.6)とシマノより広く、シマノチェーンとカンパスプロケットの組み合わせについても、問題なさそうです。

実走してみての感想 : ◯

チェーンの仕様的としては、カンパとシマノとは大差がありませんので、変速してみての違和感は感じられませんでした。ただ、換装前はカンパの9速チェーンを利用していたため、やはり11速化でチェーンの剛性感が落ちたような感覚があります。

9速チェーン時代は、シマノのよりカンパチェーンの方が剛性感、耐久性共に高かった覚えがあるので、機会があればカンパの11速チェーンの感触を試してみるつもりです。

最期に

20年前のカンパニョーロ9速ベースのロードバイクの11速へのアップグレードは、いろいろと試行錯誤[1][2]もありましたが、今回で安定化したため、ひとまず完了となります。やはり、11速エルゴレバーと、9速リアディレイラーの組み合わせには、少々無理がありました。

今回の11速へのアップグレードによる、最終的なパーツ構成は以下となります。

Component Specification
Frame Bianchi MEGA PRO-L - Mercatone Uno Term Replica
Fork LOOK LDS PRO3 NT
Headset Campagnolo RECORD
Shifters Campagnolo RECORD 11 Speed
Front Derailleur Campagnolo RECORD 12 Speed
Rear Derailleur Campagnolo RECORD HO 11 Speed
Brakes Campagnolo RECORD 11 Speed
Crankset Campagnolo RECORD 180mm
BB Campagnolo CHORUS 68mm
Chain Shimano Dura-Ace CN-HG901 11 Speed
Sprocket Shimano Ultegra CS-R8000 11 Speed 11T-34T
Stem ITM BigOne
Handlebar ITM SUPER EUROPA 400mm
Seatpost PNP Titanium 27.2mm
Saddle Selle Italia Flite

クランクやブレーキ周りなど、20年前と規格的に変更のない部分もあるのですが、変速周りについては仕様変更を調整だけで吸収しきるのは難しく、総入れ替えのアップグレードとなってしまいました。

9速時代のシマノロードはロード・MTBパーツに互換性があったため、MTBリアディレイラーを流用して、27Tオーバーのスプロケットに対応が可能でした。残念ながら、カンパの9速ではそのような対応はできませんでしたが、今回の11速HOディレイラー変更により、(非公式ながら)34Tまでに対応させることができました。

また、9速時代も、シマノベースのホイールを共用することで実現していたシマニョーロも、11速時代でも達成できたことは、なにより大きな成果です。

ただ、工具については、この20年間の変化で、カンパニョーロは、トルクスレンチ対応のパーツが多くなり、シマノとの共用を考えると、すべてを携帯するのは、ちょっと現実的ではないかもしれません、

今回で、11速のアップグレードはひとまず収束となりますが、また気が付いたことがあればレポートしてみたいと思っています。