Bianch Mega Pro 11速化へに向けて – 9速からのアップグレードを考える

Bianch Mega Pro 11速化へに向けて – 9速からのアップグレードを考える

Bianch Mega Pro 11速化へに向けて – 9速からのアップグレードを考える

先日のシマノコンポーネントベースの9速ロード(LOOK KG231/Cannondale CAAD4)につづいて、おなじく9速でカンパベースのBianch MEGA PROも11速にアップグレードを考えてみます。

20年前のロードバイクなので、なるべく雰囲気を残しつつ、11速へアップグレードをしてみたいと思っています。あと、9速時代でシマノホイールで調整をかけており、いわゆるシマニョーロでの運用継続も考えています。

ただし、カンパについては、多段化によるメジャーチェンジ以外にもビックマイナーチェンジによる仕様変更も多く、非公式をふくめての情報整理が必要な状況でした。そこで、今回はその事前準備として、11速アップグレードに必要となるカンパコンポーネントの情報を可能な限り整理してみます。

カンパのディレイラー仕様の遷移

今回の11速へのアップグレードの要となるディレイラーを中心に、まずはカンパコンポーネントの仕様変更の歴史をまとめてみます。シマノは多段化によるフルモデルチェンジのみですが、カンパはフルモデルチェンジはもちろん、同じ段数でも互換性に影響するビッグマイナーチェンジがあります。

ただ、カンパコンポーネントの細かい仕様については、カンパからの公式な情報の開示も乏しく、ある程度非公式な情報に頼る必要もあります。公式・非公式な情報を時系列に整理してみると、今回のアップグレードに必要となる変速仕様の遷移は、以下のような感じとなりました。

区分 項目 〜2000年 2000年〜 2001年〜 2005年〜 2009年〜 2015年〜 2018年〜
フロント[1] 速度 2 2 2 2 2 2 2
- インデックス化 X X X △ *1) X X X X
リア[1] 速度 9 9 10 10 11 11 12
- Cable Pull 3.2 3.0 2.8 2.8 2.6 2.9 ? [6] ?
- Actuation Ratio 1.4 1.5 1.5 1.5 1.5 1.35 ? [6] ?
チェーン[2] 外幅 6.8 6.8 6.2 5.88 5.5 5.5 ?
スプロケット[7] ピッチ 4.55 4.55 4.15 4.15 3.85 3.85 ?

リアディレイラー移動比の変更 (2000年〜)

2001年の10段化に先行[8]して、20000年の9速の時代にリア変速のケーブル移動量(Cable Pull)と合わせリアディレイラーの移動比(Actuation Ratio)の仕様変更がありました[1]。リアディレイラーの移動比については、2000年を以前の旧カンパは1.4、それ以降の新カンパは1.5となります[1][9]

今回対象となるリアディレイラーは1999年モデルの2000年以前の旧カンパ世代のディレイラーです。ただし、シマノの11速化時のリアディレイラーの移動比の仕様変更(1.7 → 1.4)ほどの極端な変更ではなかった(1.4 → 1.5)ため、旧カンパと新カンパは、混在しても調整できる範囲内だったようです[9]

フロントインデックス化 (2005年〜2009年)

フロントシフターについては、2005年のフロントインデックス化がコーラス未満の一部グレードにて導入されたようです[1]。2009年には廃止され、現在のコンポーネントでは採用されていないようですが、その当時のコンポーネントの流用には、注意が必要になるかと思います。

今回対象となるエルゴレバーは1999年モデルから、現行のエルゴレバーへの交換なので、こちらも対象外です。他メーカにはない、ちょっと興味深い仕様ですが、時間があれば調べてみたいと思います。

Revolution 11+ とは? (2015年〜)

2015年、前述の9速時代とおなじくにビッグマイナーチェンジのような形で、既存の11速がRevolution 11+として仕様変更が実施されます。ただし、この仕様については「非公表」なカンパ側の意向もあるのか、カンパの公式な技術資料[10]はもちろん、カンパ系のまとめサイトにも記載がない[1]状況です。

現実的には、エルゴパワーとセットでリアディレイラーを交換するユーザーが多いのでしょうか。少ないながらも、非公式を含めての情報を整理してみると、以下のような状況のようです。

  • 2009年〜2014年の11速シフターと2015年以降のリアディレイラーの間に互換性はない [11][12]
    • ただし、Athenaの11速シフターは2009年〜2014年の11速シフターと2015年以降のディレイラーで互換性がある [11]
    • Potenzaのリアディレイラーのリターンスプリングはコーラス/レコードに比べて弱い [11]
  • 2009年のシフターは実測値で27.3mm、2015年のシフターで29.8mはの引き量 [6]
    • これから計算するとすると、1シフト当りのケーブル巻量(Cable Pull)は単純平均値で2.6mmから2.9mm(29.8÷10)でに変更か?
    • 同様に、現行のリアディレイラー側の移動割合(Actuation Ratio)は1.35(=1.5*2.6/2.9)か?
  • ブレーキ、チェーン、カセットについてはRevolution 11+仕様変更の影響はなく互換性はある [11]

結果としては、Revolution 11+でもリアディレイラーの移動比が、若干微調整されているようです[9]。ユーザーから報告のあった実測値[6]から計算してみると、旧カンパと同等の1.4程度か、計算が正しければ、より少ない1.35程度に移動比が減少している可能性があります。

もっと言えば、この1.4という移動比は、現在のシマノのリアディレイラーの移動比と同じであり、シマノ・カンパともに同じ値に近づいている点は興味深いところです[9]

どうアップグレードするか?

とは言え、20年前のロードバイクですし、なるべくオーバースペックにならないように最小限でのアップグレードを考えます。最初にカーボンパーツが投入された世代ではあるのですが、最近のカンパのデザインは20年前とはかなり変わってしているため、なるべく今の雰囲気を残したいところです。

現状のパーツ構成 - 流用できるパーツは ?

現状のパーツ構成は、カンパの9速最後の次期のコンポーネントで、レコードとコーラスのミックス構成です。エルゴパワーは小型化され、カーボンパーツが投入された最初の世代です。

Component Specification
Frame Bianchi MEGA PRO-L - Mercatone Uno Term Replica
Fork LOOK LDS PRO3 NT
Headset Campagnolo RECORD 1inch
Shifters Campagnolo RECORD Carbon 9speed
Rear Derailleur Campagnolo RECORD 9speed
Front Derailleur Campagnolo CHORUS 9speed
Crankset Campagnolo RECORD 180mm
BB Campagnolo CHORUS
Brakes Campagnolo CHORUS
Stem ITM BigOne
Handlebar ITM SUPER EUROPA 400mm

結果的に、耐久性的な問題はなく、20年間、とくに補修パーツへの交換もなく乗り続けてこれました。当時は、エルゴパワーへへのカーボンパーツの投入は不安視もされていましたが、結局20年間を通して耐久性的な不安はありませんでした。いまとなっては、カンパ以外でもカーボンパーツの投入は珍しいことではありませんが、当時のカンパの先見性を示すものです。

クランク - 流用

20年間での多段化によりチェーンの外幅は狭くなりましたが、実際にはチェーンの内側の幅およびチェーンリングの厚みについては大きな変更はありません[2][11]。また、カンパとシマノのロード共に180mmのクランクを常用しているのですが、最近のカンパでの180mmクランクは流通していないのか、一般で購入するのは難しい状況のようです。なにより、デザイン的な面もあり、現状のレコードクランク周りについては流用することにします。

ブレーキ - 流用

ブレーキについては、シマノは20年の間にNewSLRとして大きな仕様変更がありましたが、カンパについては変更はありません[5][11]。こちらも、デザイン的な面もあり、現状のブレーキを流用することにします。ちなみに、当時のカンパの上位コンポーネントの軽量化は耐久性や剛性が犠牲になることもあり、特にブレーキについては剛性を求め、定番的に下位グレードを選択する場合がありました。

ディレイラー - Revolution 11+ は調整可能な範囲か ?

個人的な見解としては、Revolution 11+と旧カンパディレイラーの組み合わせは互換性は高く、(旧カンパ(1.4)から新カンパ(1.5)の移行期のように[1])互換性が低いながらもRevolution 11+と旧11/10速ディレイラーは調整できる範囲の可能性がありそうです。

ただし、カンパとしては「2009年〜2014年の11速シフターと2015年以降のフロント/リアディレイラーは相互間の互換性はない」[12]と言うの見解のみが公式な情報です。また、また、(当然ながら)メーカとしては同世代および同グレードの組み合わせでの利用が大前提であり、非公表な情報の中にはスプリングの強さなどの安全性に関わる内容[11]も見受けられるので、注意が必要なところです。そのため、どうしても自己責任になってしまいますが、今回はまずは流用を考えています。

スプロケット&チェーン - シマニョーロは継続

9速時代から、カンパコンポのロードバイクも、シマノベースのホイールで調整をかけて運用していました。いわゆる、シマニョーロでの運用です。9速時代は安定的に運用できいたシマニョーロも、10速時代の色々互換性の問題があったようです[3]

このようなシマニョーロの互換性の問題もあり、私自身は10速コンポはシマノとカンパ共にスキップしたのですが、11速になりシマノとカンパのスプロケットの仕様が近しくなり[4]、再びホイールを共用できるのでは?と考えています。

最後に

まずは、この調べてみた情報をベースに、11速へのアップグレードを試してみたいと思います。ある程度9速コンポーネントを流用することで、当時の雰囲気を残してアップグレードできればと思っています。