LOOK KEO BLADE (2024)インプレッション – KEO MAXとの違いは?

LOOK KEO BLADE (2024)インプレッション – KEO MAXとの違いは?

LOOK KEO BLADE (2024)インプレッション – KEO MAXとの違いは?

10年ぶりのフルモデルチェンジとされるLOOK KEO BLADE (2024)を、期待を込めて購入してみました。プラットフォーム幅の縮小による踏み心地の変化と、クリップインの向上に期待しての購入です。

結論から言うと、従来はKEO MAXとKEO BLADEは明らかな別モデルのような感覚でしたが、今回のKEO BLADEは両者の中間、もしくはKEO MAXの上位互換といった感じのオールラウンダー的な進化です。

KEO BLADE (2024)は、KEO MAXの踏み心地の良さと、従来のKEO BLADEの剛性を兼ね備えています。踏み幅や踏み心地の変化、着脱性の向上は特筆すべき点ですが、従来のプラットフォーム幅の安定感や、踏み心地の変化に違和感を感じるかもしれません。

歴代KEO BLADEの比較

前回のフルモデルチェンジのKEO BLADE 2(2014)以降は、2018年の踏み面のマイナーチェンジのみに留まっていましたが、今回はプラットフォーム全体が変更され、踏み面となるプラットフォーム幅および形状が一新されています。

KEO BLADE (2024) KEO BLADE (2018) KEO BLADE2 (2014)
プラットフォーム幅 64 mm 67 mm 64 mm
接触面積 705 ㎟ 700 mm² 700 mm²
スタックハイト 14,8 ㎜ (8,5 + 6,3) 14,8 ㎜ (8,5 + 6,3) 13,0 mm (6.7 + 6.3)
Qファクター 53 mm 53 mm 53 mm
リテンション 8-20 Nm 8-20 Nm 8-20 Nm
重力 115 g 110 g 110 g

スタックハイトは、2014年モデルのような過度なスタックハイト(13,0mm)ではなく、前世代(2018)の14,8㎜のスタックハイトが踏襲しされています。プラットフォーム幅がスペック上64mmに縮小されているものの、接触面積は705㎟となり、より広い接地面積が確保されているのが特徴です。

互換性の維持 - KEO BLADE2 (2014)〜

ただし、今回のフルモデルチェンジは、前回のKEO BLADE 2(2014)のフルモデルチェンジとは違い、ペダルテンション部となるカーボンブレードや、ペダル後部のビンディングレバーなどの補修部品は互換性がありそうです。

ビンディングレバー部については、KEO BLADE (2024)は軽量化のため肉抜きが施されていますが、形状は変わっていません。改めてKEO BLADE2(2014)以降の完成度が伺えますが、従来の補修部品が利用できるのは有り難い点です。

カーボンブレードの互換性 - KEO BLADE2 (2014)〜

KEO BLADEの場合には、標準では8Nmのカーボンブレードが装着されいます。KEO BLADEのカーボンブレードも、KEO BLADE (2018)以降、マイナーチェンジされ肉厚化されていますが、形状的な互換性は維持されています。

標準で付属していたLOOKロゴのカーボンブレードについても、KEO BLADE (2018)以降の肉厚化された形状のものが付属しています。新旧のカーボンブレードは、形状的にも互換性があり新規装着時のテンション感も表記通りで差異がありません。ただし、現行のブレードはコストダウンされたのが、ヘタリが早く、耐久性が低い印象はあります。

実走での評価軸 (踏み心地と着脱性)

長らくLOOKのペダルを愛用してきましたが、踏み後ゴチや着脱性などから、率直に言えば、現行ラインナップでの一番の好みはKEO MAXシリーズになります。今回のKEO BLADEの購入は、MAXシリーズに近い感覚になるかの期待を込めての購入であり、今回の評価についてもKEO MAXを軸とした評価となります。

KEO BLADE (2024) KEO BLADE (2018) KEO MAX2
プラットフォーム幅 64 mm 67 mm 60 mm
接触面積 705 ㎟ 700 mm² 500 mm²
スタックハイト 14,8 ㎜ (8,5 + 6,3) 14,8 ㎜ (8,5 + 6,3) 17,3 mm (11 + 6.3)
Qファクター 53 mm 53 mm 53 mm
リテンション 8-20 Nm 8-20 Nm 8-12 Nm
重力 115 g 110 g 125 g

踏み心地 - プラットフォーム幅縮小への期待

スプリントやダンシング時には安心ですが、KEO BLADEは踏んでみると幅広い感覚があります。シマノのペダルも含めて、フローティング角のあるクリートを使っていますが、最近のペダルのプラットフォーム幅の広さは、シッティング時の踏みごごち的には不要な感覚もあります。

また、KEO BLADEは、硬いまでの感触はないのですが、KEO MAXに比べると踏んで粘る(たわんでる?)応力ような感覚がなく、踏んでいて楽しい感覚がありません。ダイレクト感が薄いと言えばそれまでですが、KEO MAXは、KEO BLADEに比較すると、大腿(太もも)前面の大腿四頭筋への負荷は少ないのか、ロングライドでも最後まで楽しく踏み込める感じがあります。

着脱性 - 60%の向上への期待

KEO BLADEは軽量であり、KEO MAXと比較すると、リスタート時のキャッチの動作には気を使います。端的に言えば、KEO BLADEはクリップイン時に、ペダルが回転しすぎてペダルの裏面を踏んでしまうことあり、シマノペダルやKEO MAXペダルに比較して、リスタート時に慎重さが求められます。

今回のKEO BLADEは、軽量ながらも前後の重量バランスを調整することにより、従来より60%もクリップインとクリップアウトの行いやすさが増し、停車時のリリース、リスタート時のキャッチの動作がよりスムーズになり、実用面での進化も遂げているとされています。着脱性の向上にも期待しての購入です。

実走してみて

現在のところ、KEO BLADE(2024)では複数のカーボンブレードが付属しての販売はなく、グレード毎に標準のカーボンブレードが設定され、今回購入したKEO BLADEは、8Nmのカーボンブレードが標準として出荷されています。

KEO BLADE(2024)では上位グレードのKEO BLADEセラミックからは、12Nmのカーボンブレードが標準となっています。従来のKEO BLADEシリーズは、12Nmのカーボーンブレードが標準で慣れもありましたが、まずは購入時の状態、8Nmのカーボンブレードを試してみました。

踏み心地の変化

KEO BLADEの最新モデルは、従来のKEO MAXとKEO BLADEの違いを橋渡しするような踏み心地に進化しました。幅広い感覚が失われ、より強い接触感が特徴です。この変化により、近年のシマノペダルと似た感覚を持ちながらも、KEO BLADE特有の踏み込んだ感覚が踏襲されています。

従来モデルとの違い - 幅広い感覚の消失

プラットフォーム幅が64mmに縮小された影響でしょうか。後述するシマノやKEO MAX2に近い踏み心地になっています。少なくとも、従来のKEO BLADEにあった幅広い感覚が失われ、より踏んでいる感覚が強く感じられます。

従来は、KEO MAXとKEO BLADEの踏み心地は明確に異なるものでしたが、今回のKEO BLADEは両者の中間的な印象、あるいはKEO MAXの上位互換といえる踏み心地です。KEO MAXで感じられる粘り(たわみ?)のような応力感覚はありませんが、剛性の高い設計により、ロスのない踏み込みが可能で、接触感が向上しています

シマノペダルとの違い - 接触感は強め

KEO BLADE 2014では、幅広い感覚が失われたことで、シマノペダルと踏み心地の違いが少なくなりました。しかし、シマノペダルと比較すると、KEO BLADEの接触感の強さは健在で、踏み込んだ際の感触がはっきりと感じられます。

近年のシマノペダルもカーボン素材の採用が進み、接触感以外の踏み心地の違いはわずかです。裏を返せば、PD-7810を最終系とする、かつてのアルミペダルのようなカチッとした硬質な剛性感による楽しさはありませんが、接触感により独自の踏み心地の楽しさを提供しています。

クリップイン性の向上 (60%の向上とは)

クリップアウト後の直立性については、購入当初はグリスによるベアリングの抵抗がありますが、300kmほど走行すると固さがとれて改善してきます。しかし、購入直後の動きが渋い段階でも、ペダルが垂直に立ちずらい感はありつつも、裏踏みすることはなく、確実にクリップインできる安心感があります。

今回のKEO BLADEは従来と比較すると「60%のクリップインとクリップアウト」の改善とされています。思いついて計測してみたところ、今回のKEO BLADEは、ペダルが裏返るのに必要な重量は10円玉3枚分(13.5g)の応力でした。

- KEO BLADE (2024) KEO BLADE (2018) KEO BLADE2 (2014) KEO MAX2
踏み込み応力 13.5g (3枚) 9.0g (2枚) 9.0g (2枚) 18.0g (4枚)

対する従来のKEO BLADE(2018/2014)は、10円玉2枚分(9g)で裏返っており、結論としては、裏踏みしない要因は、裏返しづらい踏み込み応力の、絶妙な重量配分による50%(=(13.5/9)-100)改善によるものと思われます。この改善は、公式の60%の改善に含まれている数値でしょう。

従来のKEO BLADEは、慎重にリスタートしても、10回に1回程度は、裏踏みしてしまうことがありましたが、今回のKEO BLADEは、リスタート時に裏踏みすることはなく、確実にクリップインできる安心感があります。

カーボンブレードの交換 (8Nm → 12Nm)

KEO BLADEでは8Nmのカーボンブレードが標準のため、初日はそのまま乗ってみたものの、8Nmのカーボンブレードは、通勤といえども固定力が弱く着脱感にも乏しい感があります。

緊急時のクリップアウトを重視するのであれば、8Nmのカーボンブレードは最適です。上死点での軽いクリップアウトは難しくなりますが、通常走行時の安全を重視し、即日で12Nmのカーボンブレードへ交換しました。交換には、T8とT10の2本のトルクスレンチが必要で、1本はドライバータイプだと作業が素早くできます。

固定テンションについては、8Nmでも単純な引き足や置きにいくようなダンシングで外れることはなさそうですが、スプリントやダンシングで多少パワフルな使い方をすると、外れてしまう不安定感が残ります。

また、KEO MAXやシマノのようなバネ式のペダルと比較すると、8Nmはかなり着脱感が乏しいテンションです。良く言えばパコンとして着脱は軽いのですが、バネ式や12Nmカーボンブレードのようなパチンとした明確な着脱感がないため、未装着との判別がつきにくくなります。

KEO BLADE2は12Nmが標準でしたが、通勤で市街地の走行機会も多いため、しばらく8Nmのカーボンブレードを試していた時期もありました。両足、着脱の多い左足のみと試してみましたが、最終的には元の12Nmのカーボンブレードに戻した経緯があります。

カーボンブレードは、スプリンター向けに20Nまでのラインナップがありますが、16Nでもかなり固定力が高いため、通勤などの着脱が多い場合には、オールラウンダーな12Nmが適切でしょう。

最後に

現行のLOOKペダルではKEO MAXが一番好みでしたが、今回のKEO BLADEは、従来のKEO BLADEの良さを継承しつつ、KEO MAXの踏み心地と着脱性を提供してくれます。また、カーボンブレードにより金属バネの腐食の心配もなく、KEO MAXの上位互換として、天候的にもオールラウンドに使えるペダルです。

デッキ幅の縮小による踏み心地の変化は、KEO MAXなどの従来のLOOKペダル愛好者にとって魅力的なポイントとなるでしょう。ただし、スプリントに従来のKEO BLADEやシマノペダルや幅広さによる安定感や、踏み心地の変化に違和感を感じるかもしれません。

着脱性については、従来のKEO BLADEシリーズから明らかに改善されており、市街地やロングライドなどクリップインとクリップアウトが多い場面、特にリスタート時のキャッチの動作がスムーズになり、安心感が増しているのが特徴です。

ただし、カーボンブレードについては、KEO BLADEに設定されている8Nmのカーボンブレードでは、安心感や着脱感が乏しいと感じる方もいるかもしれません。カーボンブレードは単体購入しての交換も可能ですが、上位機種であるKEO BLADEセラミック以上のグレードは12Nmが標準ですので、価格差や耐久性に期待して、上位機種を選択するのも良いかもしれません。