SHIMANO SH-RC703 レビュー – シンプルながらハイエンドモデルの技術を継承したモデル

SHIMANO SH-RC703 レビュー – シンプルながらハイエンドモデルの技術を継承したモデル

シマノのロードシューズは、性能、快適性、耐久性のバランスが非常に良く定評があります。特に「SH-RC703」は、同社のハイエンドモデル「S-PHYRE RC903」の技術を継承しつつ、より手頃な価格で高性能を実現したミドルグレードモデルとして人気を集めています。 シマノのロードシューズ初代モデルのRC7(SH-RC700)を2016年の発売以来愛用してきましたが、長年の使用によりかなり傷んでしまい、デザインも時代遅れになってきたため、SPD-SL用の新しいシューズを探していました。 シマノの上位モデルのロードシューズは、これまで派手なカラーリングのデザインが特徴でしたが、今回発表された4代目となるSH-RC703は、シンプルで洗練されたデザインに一新された点が、今回の購入の決め手となりました。 ベーシックなデザイン – シンプルでスタイリッシュ SH-RC703は、RC9シリーズをはじめとするこれまでのシマノロードシューズに見られた派手なカラーリングから一転し、よりベーシックで落ち着いたデザインが採用されました。前モデルのSH-RC702のグラデーションカラーデザインから、モノトーンの単色デザインへと変更され、すっきりとしたフォルムと洗練されたシルエットが特徴です。 このシンプルなデザインは、初心者からベテランまで、幅広い層のサイクリストに受け入れられるでしょう。また、ツートンカラーのデザインが多いシマノロードシューズですが、SH-RC703では、アッパー部とヒール部で同一の素材を使用することで、より一体感のある仕上がりとなっています。 BOAダイヤルの採用 – ベルクロと樹脂パーツの削減 SH-RC703には、微調整が可能なBOAダイヤルが2つ搭載されており、走行中でもライド中の足のむくみや締め付けすぎを、片手で簡単に解消できます。2つのBOAダイヤルは着脱は面倒ですが、ロングライドを考えると、足首と足の甲部分を、個別に調整できるのは、やはり便利です。 パワーゾーンレースガイドは、シマノロードシューズの特徴ではあったのですが、上位モデルのRC9を踏襲し、本モデルから廃止となりました。また、ベルクロと樹脂パーツの廃止は、近年のロードシューズのトレンドとなっていますが、適材適所での樹脂パーツの採用は、シマノらしい質実剛健的さが感じられます。 独自のサラウンドラップ構造 – シュータンの廃止による快適性 最近のシマノロードシューズ、独自のサラウンドラップ構造が採用されているのが特徴です。圧力が均等に分散されるため、長時間の使用でも足が疲れにくく、アッパーがシームレスに足全体にフィットします。 ペダルにパワーを効率的に伝えるとともに、長時間のライドでも快適性を損なわない設計です。また、サラウンドラップ構造の採用により、従来のシュータンは廃止され、何よりシューズの着脱がしやすいのがメリットです。 カーボンソールの剛性感 – ダイレクトさと快適さの両立 SH-RC703は、ソール剛性は10とやや控えめですが、剛性に優れたカーボンソールが採用されています。踏み込んでみると心地よいダイレクトな剛性感があり、適度なシューズ全体の剛性感も、足裏全体の踏み込みをサポートしてくれています。 外面的には、初代モデルのSH-RC700や他社モデルのような、ソール全体がカーボン剥き出しのデザインではなく、ペダリングの接触面となるクリート部以外は保護されています。外面的には、いかにもカーボンソールなデザインではありませんが、内面的にはヒール部まで一体成形されたカーボンソールで覆われています。 カーボンソールは中抜きされており、クリート部までコンポジットナイロンソールの部品が嵌め込まれています。カーボンソール特有のパワー伝達のダイレクト感を提供つつ、必要以上に硬すぎないため、ロングライドでも快適に使用できる絶妙なバランスを実現されています。また、剛性感だけではなく、雨天時や洗浄時などの耐久性も期待できそうです。 WIDEモデルの選択肢 – ロングライドや冬季でも快適 幅広の足を持つライダーにとって、シマノのWIDEモデルの存在はありがたいラインナップです。SH-RC703も通常モデルに加え、WIDEモデルも展開されています。シューズのフィット感は、快適なライドに直結します。特に、長時間のライドでは、適切な幅のシューズが足の疲労を軽減するため重要です。 個人的に、シューズを選択する最重要事項は、「足が痛くならない」快適性です。また冬場には、厚手のソックスを履くことも多いため、WIDEモデルの選択肢は、通勤など、通期で使用するライダーにとって非常に有用な選択となります。…

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SHIMANO SH-RC302レビュー – シンプルかつトレンドが詰め込まれたエントリーモデル

SHIMANO SH-RC302レビュー – シンプルかつトレンドが詰め込まれたエントリーモデル

シマノのRC3は、2021年にラインナップされたシマノノレーシングロードシューズで、上位モデルから多くの機能を受け継ぎ、エントリーモデルの枠を超えた充実した機能を備えたロードバイクシューズのグレードです。今年、2代目モデルとしてSH-RC302にリニューアルされ、初代モデルのSH-RC300への改善点もあり、今回購入してみました。 今回のSH-RC302も、RC3グレードらしい価格帯を超える品質と機能性は維持されています。レースグレード向けの改良により価格向上はありつつも、全体的な剛性感やチープな部分は改善されており、コストパフォーマンスを重視するライダーには、間違いなくおすすめできる一足です。 SH-RC302の特徴と利点 SH-RC302は、SHIMANOのハイエンドモデル「S-PHYRE」シリーズで培われた技術を継承しつつ、現代的なトレンドを取り入れたコストパフォーマンスに優れた、高性能なロードシューズに仕上がっています。モデルナンバー的には、SH-RC301はスキップされたのでしょうか。初代モデルのSH-RC300との比較を交えて、特徴をまとめてみます。 BOAダイヤルの採用 – 素早い脱着と調整 SH-RC302も、低価格帯ながらBOAダイヤルを一つ搭載し、ベルクロとの併用もないシンプルな設計です。この価格帯では通常ベルクロや靴紐が一般的ですが、成熟が進み、ベルクロだけではなくルーティングの樹脂パーツがないのも、近年のロードシューズのトレンドではないでしょうか。 例えば、ロングライド中に足がむくんでも、BOAダイヤルを回すだけで簡単に緩められるのは大きなメリットです。また、従来のバックル式に比べてメカニカルなトラブルが少ないため、安心して使用できます。 BOAダイアル位置の変更 – 改良されたフィット感 初代モデルのSH-RC300では足首やヒール周りのフィット感に甘さもありましたが[1]、SH-RC302では、BOAダイアルの位置が一般的な高い位置に変更され、課題であったフィット感の甘さが改善され、足首からヒール周りまでのホールド感が向上しています。 初代モデルのSH-RC300では、低いBOAダイアルの位置は独自のデザイン性への寄与もありましたが、一般的な位置へ変更されました。ヒールカップの形状も変更され、SH-RC300ではが絞りこまれていた形状が、包み込むような形状に改良され、ヒールの安定性に寄与しています。 ベーシックなデザイン – シンプルでスタイリッシュ RC3シリーズは、シンプルでありながらスタイリッシュなデザインが特徴です。SH-RC302では、、アッパー部とヒール部で異なる素材が異なる、RC上位モデルのデザインが取り入れられましたが、単色をベースにベーシックなブラックやホワイト、ネイビーなどのシンプルなカラーバリエーションがラインナップされています。 S-PHYREを筆頭とするシマノノレーシングロードシューズは、トレンドを先取りしている面もあるのか、奇抜なデザインが多く、好みが分かれるところではないでしょうか。シンプルなデザインを求める方にとってSH-RC300は魅力的な選択肢です。デザインは控えめですが、細部の仕上がりには妥協がありません。アッパーのステッチや素材の質感からは、シマノの製品へのこだわりを感じます。 ソール構造の改良 – 全体的な剛性は向上 数値的なソール剛性は6と、初代モデルのSH-RC300と同じとされていますが、ソール全体の剛性は明らかに向上しています。外面的なクリート部の剛性に変化はありませんが、手の力でも歪ませられた前モデルのソール全体の柔らかさが、改善されています。 SH-RC300と同じ素材感のコンポジットナイロンソールですが、ソール部は再設計されています。ハニカム構造部のパターンは変更され、肉抜き部の面積も小さく素材の充填率が大きくなり、ソール全体の剛性感に寄与しています。ベンチレーション部の小型化は、寒冷期など、通期の利用にはありがたい変更です。 再設計されたソールは、クリート部が簡易的な 防水シールは廃止され、ナイロンカバーの嵌め込みに変更されています。ナイロンカバーは、クリート部の剛性感だけではなく、雨天時や洗浄時などの耐久性も期待できそうです。 WIDEモデルの選択肢 – ロングライドや冬季でも快適 SH-RC302は通常モデルに加え、WIDEモデルも展開されています。幅広の足を持つライダーにとって、シマノのWIDEモデルの存在はありがたいラインナップです。シューズのフィット感は、快適なライドに直結します。特に、長時間のライドでは、適切な幅のシューズが足の疲労を軽減するため重要です。…

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Wahoo KICKR MOVE + KICKR CLIMBを試してみて

Wahoo KICKR MOVE + KICKR CLIMBを試してみて

KICKR 2020の故障[1]により、Wahooサポート経由で日本代理店から新品購入の割引オファーがありました。KICKR MOVEは、ダンシングには不向きながらも、疲労軽減にもつながり自然なペダリングが可能となるスライド機構が導入されています。懸念としは、KICKR 2020[1]とCLIMB[2]の2回の故障を経験し、KICKR MOVEについても無償の保証期間が1年と短いことです。 購入前にWahooサポートに確認したところ、KICKR MOVEも故障箇所によっては有償の修理も期待できない[1]とのことでしたが、他社製品では手持ちのKICKR CLIMBは活用できす、再度Wahoo製品のMOVE購入に踏み切りました。 KICKR MOVEの特徴 KICKRについては、登場以来の基本性能およびデザインが踏襲されています。KIKCR MOVEについても、全体的なサイズ感や、メインコンポーネント部については従来デザインと共通です。 KICKR 2020(V5)とKICKR MOVEを比較してみても、メインコンポーネント部には、特徴的なWIFIのLEDランプが追加されている程度です。ただし、持ち運びのハンドル部が交換可能となり、より取り回しやすい位置に変更されています。 今回、KICKR MOVEに搭載されたスライド機構は、KICKRにおけるメジャーアップデートと言える刷新になりますが、いくつかマイナーな更新も合わせて、その特徴につきレビューしてみます。 ◎ MOVE – 機械式スライド機構の導入 KICKR MOVEの最大の特徴は、本題部分が前後にスライドする機構が組み込まれたことでしょう。従来の左右5°の範囲内で傾く設計であるAXISフィートも標準装備されているため、固定式のトレーナーでありながら、前後左右の移動が実現されています。スライド機構は機械式で、前後に7cm、合計14cmの範囲で動作します。 スライド動作は、実走から想像される単純な前後へのスライドではなく、振り子のような動きをします。また意図した動きではなさそうですが、スライド機構部自体にも左右1°ほどの遊びがあるため、AXISフィートに加えて左右の揺れに対しての追従性が増しています。 スライド機構は、電子的な制御もなく、耐久面も期待できます。また、ロックアウト機構も備え付けられており、バイクを装着時やトレーナーの移動時はもちろん、スライド機構をオフにし従来のKICKRのような固定ローラとして利用する機構としても活用できる点も、保険的な意味で有難い機能です。 ○ 乗降時の振り子感 スライド機構を有効にしている場合、KICKR MOVEの乗り降りは、少なからず振り子感があります。固定ローラーの感覚で粗っぽく乗降すると、スライド機構により、かなりの振り子動作が発生します。 例えれば、揺れた船に乗降する感じでしょうか。静かに乗降すれば振り子感は抑えられますし、派手に乗降しても、KICKR…

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オーストリッチ P-115S パニアバッグ + RC-1200

オーストリッチ P-115S パニアバッグ + RC-1200

2泊3日のロングライドの予定があったので、以前から気になっていた、オーストリッチのP-115Sを購入してみました。このパニアバッグには、ミノウラから専用キャリア(RC-1200)も販売されており、あわせての購入です。今回、早速試走してみたので、そのレビューをしてみます。 P-115S パニアバッグとは? P-115Sは、おなじくオーストリッチのパニアバッグ(P-115)のハーフサイズの製品です。520gの軽量タイプで、ロードバイク用の専用キャリアとあわせて、数泊のツーリングには最適では?と思い購入してみました。 生地はターポリンという、建築工事用養生シートや簡易テント用に用いられている素材のようです。生地の表面は合成素材で、見た目的にもかなりの防水性がありそうです。今回の試走では、20mmの土砂降りの中を走りましたが、なかなかの防水性を発揮してくれました。 RC-1200とは? – 26.0mmのシートポストは注意 RC-1200は、オーストリッチ社とのコラボレーションで企画された製品とのことで、キャリア取付け用のダボがなくても取り付け可能なリアキャリアです。一般のキャリアと比べると、かなり細身で幅狭ですが、ロードバイクには取り付けも簡単かつ軽量で相性がいい感じです。 RC-1200は、シートポストとクランプで接続するタイプです。ただ、購入したから気が付いたのですが、シートポストクランプの対応は27~35mmまででした。最近のロードバイクでは問題ないと思うのですが、今回装着したLOOKのシートポストは26.0mmなので、手持ちのミノウラのシム(おそらくLW-STD付属品)で対応できたは、ラッキーでした。 試走 – 防水性もある! 早速、今回目的の2泊3日のツーリングで、P-115Sを取り付け試走してみました。距離的には、東京→高崎→白馬→東京の合計約600kmの道のりです。 着替えや輪行袋、予備のタイヤなどをパニアバッグに詰め込みましたが、走行はかなり安定しています。シッティングでもそうですが、ダンシングしてもパニアパッグを装着している感じが少なく、振られるような感覚もありませんでした。 初日、二日目は晴天に恵まれましたが、最終日はけっこうな悪天候になりました。雨も終止降り続き、十石峠や矢弓沢林道では降った雨が川となって流れているほどでした。帰宅して雨量を確認してみると20mmと、なかなかの土砂降り状態でした。 ただ、この土砂降りの中でも、パニアバッグへの浸水はなく、中は濡れていませんでした。メーカーとしては、完全な防水は保証していない製品ではありますが、十分なレベルです。途中に補給のために、何度かコンビニに寄ったのですが、パニアバッグのタオルは濡れておらず、コンビニに入る前に濡れた体を拭くのに、ずいぶん助かりました。 ただし …. 到着直前でトラブル発生 ただ、最終日の土砂降りは、なかなかひどく残念ながら270kmほど走ったところでDNFとなりました。東京に入ってからも時折20mmの土砂降りが断続的にあり、途中の峠の登り下りも時折歩いてしまい、また雨でのパンクもあり、13時間ほど走ったものの距離はあまり稼げませんでした。 最終的には、到着まで50kmほどの地点で、またまた20mの土砂降りとなり、チェーン落ちがきっかけでリアディレイラーのホイール巻き込んでしましました。原因は、ちょっとした上り坂があったので、フロントアウター、リアローギアでダンシングしたところ、ハイトラクションでチェーンが落ちたきっかけで、ディレイラー(RD-R8000)がホイールに巻き込まれてしまいました。 調整具合もあったと思いますが、おそらく土砂降りの雨で、チェーンが滑りやすくなったいたのだと思います。すぐに足は止めたのですが、スポーク折れは1本にとどまったものの、かなりの巻き込み具合で、応急修理できるレベルではありませんでした。結局は、自走はあきらめ、近所のファミレスにそのまま待機して、家族に迎えにきてもらい、その日は終了となりました。 土砂降りもあり、P-115Sの良い試走にはなったのですが、まずは今回のホイール(PowerTap GS + DT SWISS RR 441)の修理と、リアディレイラー(RD-R8000)の交換が必要となる大きなトラブルでの終了となりました。その修理については、またレビューしてみたいと思います。

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