通勤用自転車のペダルをSPDに (Shimano XTR PD-M9020 + MT7)

通勤用自転車のペダルをSPDに (Shimano XTR PD-M9020 + MT7)

通勤用自転車のペダルをSPDに (Shimano XTR PD-M9020 + MT7)

冬にむけて寒くなってきたので、通勤用のペダルをロードバイク(LOOKメイン)ペダルから久々にSPDペダルに変更することにしました。例年であれば、ロードシューズにカバーをしたり、フラットペダル(+ハーフクリップ)に交換していましたが、10年ぶりぐらいのSPDペダルへの復帰です。

なぜSPDをやめたのか?

最近こそ、ロードバイクやフラットペダルで通勤することが多くなりましたが、10年ぐらい前は、通勤でもツーリングでも、どこにいくのもSPDペダルをメインにしていました。ただ、当時はいわゆる「点で踏む」ような感覚が強く、乗車中にビンディング部分の足裏が痛くなりがちで、ちょっと遠出をしたときには、もう漕ぎたくなるほどでした。

それでも通勤には常用はしていたのですが、しだいにフラットペダル(+ハーフクリップ)での運用が多くなっていきました。最終的には、5年ほどまったく使わなくなった期間もあり、すべて売却してしまった経緯があります。

再びSPDに

ただ、通勤だと駐輪場から歩いたり、帰りに寄り道したりして、どうしても歩く機会が多くなります。また、冬になり寒くもなってきたので、通気性はそこそこの暖かいシューズが欲しくなり、いちどSPDペダルに戻してみようと思い立ちました。

歩行面では、普通のシューズが使えるフラットペダルが最強だとは思うのですが、ハーフクリップでビンディングペダル並みの走行感はあるものの、どうしてもハーフクリップでシューズが傷ついてしまします。

ロードバイペダルだと、冬は(カバーをするにしても)シューズの通気性が良すぎますし、やはり脱着の多い通勤ではクリートの減りが気になります。

ケージ付きSPDペダルは、現代版のSPD-Rか?

また、最近はロード用やトレイル用の踏み面が広いSPDペダルがリリースされており、シューズのソール剛性もあがっている背景とあわせて、「もしかして足裏は痛くならないのでは?」と思っていたことです。

その踏み面の形状や面積は、(後述するように)かつてのSPD-Rペダルを彷彿させるものがあり、パワー伝達効率の向上面でも、以前から期待感をもってました。

また、ポップアップゲージ付きのSPDに比べると、最近のトレイル用のSPDはスタイリッシュでロードバイクにもデザイン的に合いそうなのもポイントでした。

SHIMANO XTR PD-M9020 vs PD-M9120

とは言え、以前使用していたSPDペダルはすべて売り払ってしまっていたので、今回、SDPペダルとシューズはセットで新しく買い直しとなりました。XTRの耐久性と回転の良さはは実感していたので、ペダルは型落ちでセール品のPD-M9020を購入しました。

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現行品のPD-M9120は、PD-M9020と比較すると踏み面が後方に伸び、見るからにペダルとシューズの接触面積が増えています。後方部に長い踏み面は珍しく、これはエンデューロレーサーからの要望でフラットペダルでの乗車位置を再現するための設計とのことです[1]

新型ペダルのクリート位置は、ペダル後部に足を移動するために、母指球より上にずらす感じでしょうか。ただ気になるのは、新型は前方部の面積が減っており、通常のクリート位置を考えると、旧型のほうが面積は確保されています。ここらへんは、野山を駆け巡るエンデューロ向けの設計なので、最近の土踏まず側にクリートが移動しているロードのトレンドとは相反する感じです。

新型の長い接触面は気になるところですが、ロードでのクリート位置を考えると旧型が適正とも思い、今回はベーシックな形状の型落ち品のPD-M9020を選択しました。踏み面位置と価格的な要素もありますが、なによりデザイン的には現行品よりも旧型のペダルの方が、スタイリッシュでロードバイク向きな感じがします。

SHIMANO MT7

シューズについては、通気性が良すぎず暖かく、剛性があり、なおかつ街中でも歩きやすいものを探しました。レース向けのものは剛性が期待できますが、正直通勤向けではなく、通気性も良さそうなので対象外としました。そこで、シマノがEXPLORERとして展開しているラインナップからソール剛性感が高いMT7を選びました。

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シマノ曰く、EXPLORERは「通勤やツーリング(オンロードおよびオフロード)のために、あるいはレクリエーションや健康維持のために自転車に乗るサイクリストに最適な製品ラインです」とのことで、目的にも合致しています。EXPLORERのソール剛性は2〜5のものがラインアップされており、MT7のソール剛性は上位レベルの「4」になります。

乗ってみてどうだったか?

この2ヶ月ほど通勤や短時間のトレーニングに乗り回してみて、かつてのSPDのネガティブなイメージは、まったくなくなりました。いわゆる「点で踏む」ような感覚が少なくなり、かつての足裏が痛くなる兆候もありません。走行感も、トレイル用のゲージの効果か、通常のロードバイクのペダルとそれほど遜色がない感じです。

SHIMANO XTR PD-M9020 - SPD-Rっぽい!?

やはりゲージ付きのものは、その面積の広さから着脱時、信号が変わった時のスタート時など、最悪ビンディングがなくとも踏んでいけるの安定感があります。さらにポップゲージなSPDペダルと違い、ゲージを踏んでいる感がなく、通常のゲージなしのSPDペダルと遜色がない踏みごごちです。

そして、通常のSPDペダルとくらべるとペダルとシューズの接触面がワイド化されており、踏んだ感じはロードバイクのペダルと比べても遜色は少ない感じです。踏み面の形状や面積は、かつての使っていたSPD-Rと近しいものがあります。SPD-Rは、SPDに比べると前後にクリートが長いために(ちゃんと調整しないと)前後のシーソー感が強かった覚えがありますが、クリート位置の調整も通常のSPDと代わらず簡単でした。

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SPD-Rは完全なレース用で、軽量かつ剛性感が高い反面、嵌めにくく、裏返りやすく、はずしにくいと、通勤にはまったく向かないペダルでした。ただ、当時利用していた旧型LOOKのDELTAペダル(22mmほど)と比較すると、衝撃的なダイレクト感があり、ペダルとしての完成度は高かったと思います。SPD-Rはクリートも金属製で薄くPD-7700のスタックハイトは14.4mmと、現行のPD-R9100(14.4mm)と比較しても遜色がない低スタックハイトのペダルでした(写真のはPD-6600でアルテグラグレードです)。

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PD-M9020のスタックハイトは、実測値ベースで19.4(= ペダル厚み + クリート厚み = (8.7(=17.4/2)mm + 10.7mm)と、SPD-Rと同じく、通常21mmほどのSPDペダルとしては低スタックな重視な設計が読み取れます。

ただ、アームストロングが旧型ルック互換のPD-7401を使い続け、PD-7700を最後まで利用しなかった事例も示すように、高スタックハイトは必ずしもマイナス面だけではありません。個人的には、高スタックハイトの下駄感はまったく不快ではなく、むしろ高いトルクが出せる感があります。

このように、SPD-Rは、若干時期早々な不遇なところもありましたが、製品コンセプト自体は、現在の主流である軽量 + 低いスタックハイトの先駆けだったのではないでしょうか。自分も、いつの間にかに対応シューズも捨ててしまっており、使いようがなく売却してしまったSPD-Rペダルですが、機会があれば乗り比べてみたいと思っています(とは言え、今となっては対応シューズの確保が一番難しそう)。

SHIMANO MT7 - 剛性の向上

こちらも、ソール面を触ってみると、明らかに剛性が高い感じです。以前使っていた10年以上前のSPDシューズは、レース向けをシューズをふくめても樹脂タイプのものしかなく、いまのソール剛性の基準で言えば最低ラインのものだったのでしょう。

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今回選択したものは、シューズの素材は合成皮革とEVA素材の組み合わせとのことですが、ソールについては剛性レベルの詳細な表記はありませんでした。シマノのソール剛性基準では「4」と全体的には中間レベルのものですが、叩いてみるとグラスファイバーとの複合ソールでしょうか。素材については不明ながらも、色もふくめて(?)グラスファイバー感があり、触ってみても樹脂以上の剛性はありそうです。

実際にMT7をペダルに装着してみたところ、ペダルの踏み面が、シューズのビンヂィング傍のにあるゴム平面にピタッと張り付く感じになります。触ってみると、MT7の踏み面との接触面はゴム素材のようです。複合ソールのような素材であれば剛性感はさらに増すのでしょう。機会があればレース用のMTBシューズも試してみたいです。

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あと、10年前のSPDシューズは、ビンディングを装着するには、まずカッターでソール面を切り抜く儀式が必要でした。最近のは、SPDシューズは、最初からビンディング部分がくり抜きされているので簡便なのも、ちょっとした驚きでした。

結論 - ロードペダルとも遜色ないのでは?

今回、ペダルとシューズを合わせて新調したので、ペダルの踏み面の効果なのか、ソールの剛性なのか判断しずらい部分はありますが、相乗効果もあり(?)、想像以上の使い勝手と乗り心地です。かつてのSPDのネガティブなイメージは、まったくなくなりました。

しばらく乗ってみた感想としては、パワー伝達効率的な面でも、ロードペダルの走行感とも遜色は僅かです。少なくとも、以前感じていた点で踏むような感覚はなく、足裏が痛くなる気配もありません。さすがに、靴底のペダルの踏み面とのゴムなためか、ダイレクト感はやや劣りますが、春になってもこのまま使い続けたいと思えるほどです。
思えるほどです。

ただ、かつてのSPDペダルは200km以上のツーリングだと、痛くてしょうがなかったの思い出します。いまのところ、100km未満の距離のコースしか走っていないので、これからロングライドなどで気になることがあれば、またレビューしていきたいと思います。

参考資料