Garmin EDGE 530 + 拡張バッテリーの使い勝手

Garmin EDGE 530 + 拡張バッテリーの使い勝手

Garmin EDGE 530 + 拡張バッテリーの使い勝手

ひさびさに、Garmin EDGEの500系の新製品が登場しました。日本では、EDGE 520 Plusの販売はありませんでしたので、EDGE 520J以来、実に4年ぶりの新製品となります。

新機能もあるのですが、プロセッサ性能が飛躍的に向上[1]した恩恵が大きく、従来の機能が実用的に、かなり使い勝手が良くなっています。

はじめに

今回は、いままではロングライドには市販のモバイルバッテリーを併用していたので、今回はGarminの外部バッテリーとあわせて購入してみました。

EDGE 530の付属品

今回は、スピードセンサーなどの付属品はなしの、EDGE 530単体での購入です。同時に販売されたEDGE 830では本体単体での販売がなかったのも、EDGE 530を選択した理由の一つです。

付属物は、従来通り、各種マウンターと、落下防止のストラップのみです。各種センサーについては、いままで利用していた既存のものを流用します。

拡張バッテリーの付属品

拡張バッテリーには、本体の他には、日本を含めた世界対応のコンセントプラグ付きのUSB MicroB端子充電アダプターと、拡張バッテリーをガーミンマウントに取り付けるための、マウントアダプターが付属していました。

拡張バッテリーには、USB MicroB端子で充電可能ですので、この充電アダプターは必須ではありません。各国対応のコンセントプラグが付属しているところを見ると、海外旅行での利用を想定したパッケージングでしょうか。

Gamin EDGE本体と拡張バッテリーの接続には、純正のガーミンマウントの部品を交換する必要があります。拡張バッテリー付属のアダプターを、既存のガーミンマウンターと交換します。

交換後は、拡張バッテリーがなくとも、従来通りGamin EDGE本体はマウント可能です。EDGE530本体と、拡張バッテリーの比較すると、EDGE本体より一回り大きい感じです。

全般

まずは、乗車前に画面設定など、ひととおりのセットアップした時点で、気がついたことをリストアップしてみます。ちなみに、ボタン数や配置については、既存のEDGE 520Jを継承しているため、迷わずセットアップできました。

○ : サイズ - ちょっと大きすぎ?

購入する前は気にはしていなかったのですが、本体は820よりもひと回り多いサイズです。これに伴い、付属のマウントのサイズも大きくなっています。最初は、ちょっと大きくて見慣れない感じです。

液晶画面もやや大きくなってはいるのですが、820と比較してみても、視認性的位には見やすくなったような実用的な実感はあまりなさそうです。

ただし、このサイズに変更は、液晶よりもバッテリー容量アップによる恩恵が大きいです。最初はちょっと大きいかな?と思っていたのですが、使っていくうちに慣れてしましました。

○ : ボタンの使いごごち

520/820のボタンとはクリック感の違いがあり、ちょっと押しにくい感があります。慣れの問題かとは思いますが、少なくとも既存ボタンのクリック感を期待して操作すると、ミスしやすい感じです。購入前に海外のレビューなどでボタンについて話題[2]があったので気になっていました。

確かに、520/820のボタンと比較すると、若干ストロークが浅くボタンが大きめなので、ボタンの押しミスを誘発しやすい構造に思えます。ボタン端を押すとミスをしやすいので、クリック感を意識してボタン中央を押すようにすれば、問題ありません。

◎ : バッテリーは大容量

バッテリーは、おおはばに容量が増えて、充電する回数が大幅に減りました。おなじ2時間ほどの通勤経路を往復した後のバッテリー残量を、820/130と比較してみました。

通勤の2時間で、530では10%ほどのバッテリーの消費量となります。計測条件としては、530/820ともに常にナビゲーション機能はONにしていますが、実測値については、ほぼガーミン公称の容量アップ数値と近しい感じです。

EDGE 530 EDGE 820 EDGE 130
通勤残量 90% 73% 40%〜20%(2/5本表示)
(820比) 123% 100% 54%〜27%
公称時間 最大20時間 最大15時間 最大13時間
(820比) 133% 100% 86%

530では、充電なしで週5日の通勤で利用しても、40%程度はバッテリー残量があり安心感があります。820/120では、慣習的に毎日充電していたのですが、530では週末の1回だけ充電するだけで充分になりました。

◯ : 標準マウント - 電源コネクタの位置変更

電源コネクタは、従来どおりUSB-MicroBコネクタになります。ただし、コネクタ位置は、従来の機種の背面から本体下部面のスイッチの間に移動しています。

ただし、このコネクタの位置の変更により、従来の機種用のガーミンマウントでは、後述する留意点があります。

△ : 既存マウントの流用には、ちょっと留意

530付属であれば問題ないのですが、既存機種のマウントでの装着については、注意が必要かもしれません。具体的には、設置位置が近くなるのと、USBコネクタ位置の変更によりマウントによっては給電しながらの利用できない感じです。

また、純正のガーミンマウントも何種類かあり、ステムと高さが一緒になるタイプのガーミンマウントでは、以下のような位置関係になります。530の装着は可能ですが、給電しながらの走行は、ちょっと難しい感じです。

いずれにしても、530付属の標準のガーミンマウントでは問題ありませんので、従来のマウントを流用する参考としてください。

既存機能 - ナビが実用的に!

まずは、既存機能で気がついたのは、GPSやナビ関連が明らかにグレードアップしていることです。とくにナビについては、今回のプロセッサ性能の飛躍的な向上[1]により、ようやく実用的になった感じです。

◎ : GPSは正確!

530以降はGPSはソニー製のチップに変更されたようです[1]。GPSによる計測精度については、とくに問題はなさそうで、ログを確認する感じでは、全般的に正確になった印象もあります。

同時計測ではないのですが、同じような天候(曇り時々弱雨)で、同じコース区間のログを比べてみると、以下のような感じです。

いずれも「GPS + GLONASS」による計測ですが、旧製品の820Jと比較すると、新製品の830のログの計測ログが地形のカーブにより沿っているのがわかると思います。天候もあり、なんとも言えないところですが、GPSチップ変更により精度が悪くなったということはなさそうです。

◎ : ナビが高速!

まず、ナビの経路探索が驚くほど高速になりました。iPhoneや車のカーナビ感覚で、目的地を設定すると直ぐに経路を計算してくれます。また、経路を間違えたときも、直ぐにリルートして新しい経路を案内してくれます。

EDGE820だと、目的地を設定してもなかなか計算が終わらず、目的地が遠い場合だとメモリ不足で計算ができないこともあり、どうしても補助的な使い方でしたが、今回の本体の性能向上で、ようやく実用的になりました。

△ : ナビ経路は距離優先?

ただし、ナビで誘導される経路は、おそらく距離優先で、細い道を通るよう指示されます。自転車的には、交通量が少なく良い面もあるのですが、住宅街に誘導されることも多く、好みが分かれるところです。

長距離だと、Stravaなどで旅の記録として区間設定がある幹線道路を通りたい思いもあるのですが、そのような場合は、幹線の看板を見ながらや、他のナビと併用しながらが良いかもしれません。

◎ : ナビ表示 - ポップアップ表示が秀逸

520/820での従来のテキストのみの表示にくわえて、ナビが、進路変更時に自動的に、ナビ画面に切り替わります。

820でも、画面にアラートとして表示されるのですが、見落とすごとも多かったで、ブルペのようなナビが重要なときには、ナビ画面を常時表示していました。

530では、急カーブなどでも自動的にアラート表示が出るので、かなり使い勝手は良い感じです。ただし、下り時など、あまり速度が速くなると、この自動のアラート表示が間に合わないケースもありましたので、その辺りは留意しておく必要がありそうです。

◎ : 拡張バッテリーは大容量

拡張バッテリーのデビュー戦として、距離346km、積算標高5800mのロングライドに参加してきました[5]。専用品のため、走行時に安定感があるのと、なにより悪天候時も利用できるのは大きな強みです。

約17時間の走行時間で、拡張バッテリーは4メモリのうち1メモリ消費(25%)程度の消費、Edge 530本体は満充電(100%)のままでライドを終えました。

位置計測は最高精度の「GPS + GLONASS」、前半の9時間程度は指定経路のナビゲーションを有効、「ナビゲーション 有効」、バックライト輝度は自動の利用条件です。

拡張バッテリーは3100mAh程度の容量ですが、拡張バッテリーの装着により60時間ほどの稼働時間の延長、Edge 530本体バッテリー(1000mAh)と合わせれば80時間近い稼働時間が期待できそうです。

新機能

また、今回のEDGE530/830から、かなり新しい機能が搭載されています。今回は、しばらく使ってみた中で、実際に利用機会がありそうな新機能の感想をまとめてみます。

△ : ClimbPro(クライムプロ)

まずは、新機能のClimbPro(クライムプロ)です。こちらは早速、蔵王エコーラインで試してみました。距離および標高差的にも富士スバルラインと近しく、プロファイル的にも前半8%を超えの登りが頻発し登るにつれて緩やかになってくるコースです。

試走の前に、あらかじめ過去のログを、コースとして530に転送しておきました。出発時に、このコースをナビにセットして走っていると、登りが近づくにつれ、以下のような画面が自動的に表示され、コースが認識されているようです。

今回転送したコースは、合計10個のヒルクライムとして認識されていましたが、確認してみると、蔵王エコーライン区間だけでも4分割したヒルクライムとして認識されていました。

ClimbProにより、既存のコースは自動的に分割されるのですが、正直その精度は、コースに設定するログの精度に依るところが大きい印象です。登りに入ると、自動的に、その登り区間の画面がグラフィカルに表示されます。

正直、今回のようなコースは、ひとつの登り区間として認識して欲しかったのですが、感覚的には、ある程度平坦区間があると分割されているような印象です。

ただし、この自動分割については、元々のEDGE 820で取得したログにも問題があり、一律に登っている区間でもヒゲが発生していたり、明らかに登っている区間であっても平坦としてGPSログが保存されている区間があったので、正確なログであれば問題はないのかもしれません。

◎ : グラフ表示ウイジェット

新機能として、時系列のグラフ表示ができる機能が追加されました。従来の機種でもConnectIQをウイジェットで実現可能でしたが、Garmin公式のグラフ表示ウイジェットという感じでしょうか。

時系列のグラフ表示と合わせて、リアルタイムの数値と、平均と最大値の数値が右上に常に表示されています。その他にも、バー表示のウィジェットもあり、レースやトレーニングには使い勝手が良い画面表示ではないでしょうか。

○ : トレーニング分析

トレーニング関連の機能としては、トレーング負荷の簡易分析表示の画面が追加されました。従来はStravaやTrainingPeaksなどで管理する必要のあった機能です。

Garmin Connectでは、これらの画面を確認する事はできないのが残念ですが、ライド後に、保存すると直ぐに表示されるので、使い勝手が良さそうです。

△ : 栄養/水分補給アラート

また、ライド中に栄養や水分補給を通知する機能が追加されました。指定した距離間隔で表示される設定のほかに、以下のようにライド後に補給食と水分量を入力した実績値から推計してアラートを表示することができます。

ただ、しばらく使ってみたのですが、距離による定期的なアラートは感覚と合わず、アラート音は急カーブなどの他のアラートと同じなので、ちょっと驚いてしまい、紛らわしい感じです。また、ライド後に毎回、補給食と水分量を入力するのが面倒なため現在はオフにしてしまいました。

最後に - EDGE 830との違い

EDGE 530から搭載された新機能もあるのですが、やはり全般的にはプロセッサ性能が飛躍的に向上[1]したことによる基本機能の改善が大きな利点で、かなり使い勝手が良くなっています。

また、同時発売されたEDGE 830との違いは、タッチパネル搭載とボタン削減の有無です。双方利用してみた感想としては、タッチパネル搭載はEDGE 820から大きく改善され実用的になっているものの、削減されたボタン数は雨天下や室内などの利用環境の制限にもつながっています[4]

本来であれば、EDGE 530のボタン削減なしにタッチパネルが搭載されていれば、EDGE 830はEDGE 530の完全上位互換の機種と言えますが、単体販売がない点も併せて考えると、EDGE 830は完全にお勧めするのはできない状況です。

個人的には、EDGEのナビゲーション機能は補助的にしか使わないこともあり、天候悪化が予想されるライドやレースに出場する際には、迷わずEDGE 530を選ぶ機会が多いです[4]。室内を含めた全天候下でストレスなく利用したいのであれば、ボタンで確実に操作できる確実性のあるEDGE 530を迷わずお勧めします。